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建築構造計算偽造問題の問題(その2)

■設計には大きく分けて3種類あります
設計と言うと、一般の方は「デザイン」を思い浮かべるかもしれませんが、設計は「デザイン」の要素だけではありません。
●意匠設計・・・俗に言うデザインの部分。見た目に素人でも判断しやすい分、設計者の思惑通りに完成することはまずありません。
●設備設計・・・照明や空調、排気口などの設置をするために必要な図面を作る設計。
●構造設計・・・建物の安全性を確保するために必要な部材の強度を計測し、構造部材を決めるための設計。

3つの設計の中では「意匠設計」が一般に目立ちやすい職業です。
「設計士さん」というポジションも、「意匠設計」をする方を指し示す場合が多いようですが、他にも「設備設計」や「構造設計」を行なう“裏方的”な設計士も多くいます。

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■設計する側は弱い立場
今回の「構造計算偽造問題」では当初、構造設計の姉歯建築士が「主犯」のように取り上げていました。建築の世界に片足をつっこんだ経歴のあるKOUJINN(旅人)にしてみたら、「それは違うだろう」とすぐに反論しました。コストカットするため、建築基準法で定められた数値を下回るような設計(鉄筋の量を減らしたりだとか、コンクリートの使用量を減らすなど)は、構造設計者は絶対にやりません

いくつかある設計の仕事の中で、「構造設計」を選ぶ人間は「カタブツ」が多いのです。彼ら「構造設計」の人間は、融通が利かず、臆病で、まじめで、繊細な心を持っていることが多いです。KOUJINN(旅人)が学生のころ、担任が構造の先生でしたが、前述の性格の人間でした。)
構造設計者はほっとけば、真四角の建物を作ります。真四角のほうが安全だからです。ドーム型の建物を企画したり、柱をぜんぜん使わない大空間のホールなどを企画すると、「面白い建物だねー」と言う発想よりも「どうやって躯体(柱や梁)を組んだら、このような建物が成立するだろう」と考えるような人種です。「夢」を見る人間ではなく、「現実」を見る人間です。

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■一般の方に分かりやすい事例を挙げます
今、このブログを読んでいらっしゃるあなたが、一軒の家を建てることになりました。あなたには子供のころから夢見ていた、イメージの家があるはずです。「台所は広くて・・・」とか「大きなホールに大階段とシャンデリアがあって・・・」とか「みんなが集まるダイニングはフローリングで大型テレビを置いて・・・」といった程度でかまいません。夢見ていたマイホームがいよいよ現実のものになる。わくわくどきどきしながら、とある建築家(デザイナー)の門をたたきます。その建築家を打ち合わせをして、あなたの“夢の家”のコンセプトを一生懸命伝えます。建築家はあなたの説明に、十分に理解したようです。

図面ができたからと後日、建築家の家に行ったら、あなたの説明した“夢の家”のアイデアはどこにも採用されておらず、建築家が勝手にオリジナルのデザインで設計してしまっていました。

もし、こんな事が起きたら、あなたはどうしますか?。
おそらく、「私が説明したものとぜんぜん違うじゃないですか!」と怒りをあらわにするはずです。

そうです。設計する側が「こういうデザインの建物を建てたい」と思い設計しても、その建物が実際に建つことはほとんど無いのです。「こういうデザインの建物」を建てられるのは、ほんの一部の有名建築家くらいで、世の中のほとんどのデザイン(設計)と言うのは、施主(この場合、あなたのことです)の考えにゆだねられることが多いのです。多少の現実的な妥協点に落ち着くとは思いますが・・・。

上記の事例でもお分かりのように、一般の素人のお客を相手にしても、設計する側の意見は“軸”にはなりえません。かならず依頼者の“考え”があって、初めて形となっていくのです。

これは、「構造設計」でも同じです。
臆病で頭の固い構造設計者は何も言わなければ、安全な真四角の、まるでマッチ箱のようなつまらない建物しか建てません。地震の揺れで建物が倒壊しないよう、建築基準法で定められたもの以上の安全な柱や梁を設計してきます。それくらい、頭が固いと思われる構造設計者のはずなのに、姉歯建築士は建築基準法を下回る躯体(柱、梁など)を設計したとされています。どう考えても、外部からのなんらかの「依頼(圧力?)」があって、建築基準法を下回る躯体を設計したとしか考えられません。


私が思うに最初、姉歯建築士は「こんな建築基準法を下回った、危険な構造設計が通るはずが無い。提出してもどこかの部署でチェックされ、図面がNGになるはずだ。そうしたら、建築基準法を上回る安全な構造設計ができるようになる」と思っていたのでしょう。ところが、「危険な図面」がなぜか通ってしまった。おかしい。あの図面では、あの建物は作ることができない。

しかし、いくつかのチェック機関を通り抜けて、危険な図面を使い、危険な建物が建ってしまいました・・・。
一度通ってしまえば、後は同じレベルのものを作り続けていくしかありません・・・。なぜなら「一度通っているから、同じものでつくれるだろう?」と、「前例」ができてしまっているからです・・・。

「その3」へつづく

■建築構造計算偽造問題の問題(全5回)
その1)(その2)(その3)(その4)(その5

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| 建築辞典 | 2007/10/14 10:58 |

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